「プロになるまでの全て!」Tさん編02

親も担任も応援してくれない。
その反骨精神が原動力となって劇団ひまわりに通い続け、
勉強とアルバイト、全て両立させた。

ちゃんと成功してまずは親に認めてもらおう!
と思ったものの正直、劇団にいる子は可愛い子ばかりで自信が持てない。
でも「私は実力派で行くから大丈夫」と思い込むようにし、
不安な気持ちを押しのけていた。

弓道部員は私を応援してくれていたけれど、教室は大学志望校の話題で持ちきり。
役者を目指す私は、浮いていた。
いろいろ厳しいけれど、自分で決めたことだ。
一人で何とかしないといけない。

とにかく情報を得ようと、日芸、専門学校、養成所の資料を片っ端から取り寄せた。
声優も、ミュージカルも、舞台もやりたい。
でもどこから手を付けたらいいのかわからない。
先輩の対談を参考にしながら、自分で考えるしかなかった。

本音を言えば、今すぐにでも声優養成所に通いたい
しかし舞台人も声優も女優も結局は役者だ・・
遠回りかもしれないけれど、本物の役者になるには、ある程度の下地が必要だ。
だったら、実力を付ける必要があるな・・

よし!舞台芸術学院に通って歌とダンスとタップと芝居と全部やってやろう!
あわよくば、劇団四季に入ってやろう!
その後、声優の世界に入ろう!
声優が「ミュージカルもできます」って言ったらそれだけで武器になりそうだし!
これはすごい学歴やんか!

結局、役者としてどう見られるかを優先して進路を決めた。
若い時に舞台を先に経験して、最後は味のある声優になればいいじゃないか!
そんな超理想を膨らませて、私は一直線。
とにかくやりたい事が有りすぎて絞れない私は、全部やる事に決めたのだ。

こんな風に、役者になるために試行錯誤している間も、
母は、あの手この手で私を大学に行かせようとしていた。
私は母を説得し続けて、ようやく諦めてもらうことに成功した!!
最終的に、何を言っても無駄だとわかったみたいだった。

「もう勝手にしなさい。あんたのことなんかもう知らないから。」
母からの冷たい言葉が突き刺さった。

勘当まではいかないけれど、応援してくれない。
それが悲しくて、自分の部屋で泣いた。
「よかった、これで夢に向かって進める!」という明るい感情と
「お母さんごめんね」という暗い感情が入り混じっていた。

親はもう味方じゃない。
何とかがんばらなくちゃ。

今思えば、役者になるなんて、母は心配だったと思う。
当時の私は、そんな事つゆ知らず、親を敵対視していた。
とても傲慢な娘だった。

夢を膨らませて入学した専門学校は、完全に場違いだった。
そこはまるで宝塚音楽学校のよう。
幼少からバレエやタップやジャズダンスや歌を習っていて、
ミュージカルを本気でやり たい人が50人もいる。

クラス全員の特徴と言えば、
「我が強い」
「自己アピール度が高い」
「自分が一番」

私は完全に周りに圧倒され、受け身だった。
学校主催の発表会で主役がやりたくても
「私なんか無理だ」という想いが先に来るし、
授業でも印象が薄いので、先生になかなか名前を覚えてもらえない。

ダンスの授業で個々が踊る空間を確保する時、
私は「できない人」だから毎回後ろの端を選んだ。
自分のことを過小評価しまくった。

「自分が自分が」と前に出てくる人達を前にして、怯む。
プロの世界はこういう風にアピールしないと生き残れないのかもしれない・・
そんなことを想い、私には向いてない世界だと落ち込んだ 。

何を血迷って、女優さんになりたいとか思ってしまったんだろうか・・

あんなに膨らんだ夢が、簡単に圧し折られた。
せっかく反対を押し切って入学したのに、毎日が辛い。
この学校で、私は完全なる負け組だった。
四季には行けない。
試験を受ける前からわかる。
ここを卒業したらどこに行けばいいのだろうか・・

思いついた。
声優養成所に行こう!
やっぱり、私は声優アイドルだったんだ!

役者としての夢を途切らせないように、
女優がダメなら次は声優だと表面だけで考えていた。
自分が声優だと思い込むと、かなり救われた。
現実に直面しなくていいのだから。
声優の世界だって甘くないのに、現実逃避にはぴったりだった。

四季に入らなくてもやりたい事はできる。
実力のあるアイドル声優になって、やりたいこと全部やる方が私には合ってる!
結局、「卒業後は、四季へ行き⇒声優になる」という超理想街道をあきらめて、
「卒業後⇒声優になる」に進路変更したのだ。

声優ならできそうなんて、ナメてるぞ!
お前は一体、何がしたいんだ!!

何だか書きながら、いらいらしてくる(笑)
でもどっかで「声優ならなれる」という根拠のない自信があったみたい・・。
本当にナメていました。
大変失礼致しました。
10代の私!たくさん本を読んで、人として成長してくれ〜!(笑)

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