「プロになるまでの全て!」Yさん編15

クビになった事務所への未練を完全に断ち切った事で、
自分の意識はかなりスッキリしました。

とてもショックで落ち込みましたが、
新しい事務所を探そうか?まだ戻れるのか?
と迷う事は完全になくなりました。

ハッキリと結果が出たからです。

そこで新しい事務所を探す事にしました。
代表から教わった、昔から沢山の人がやってきた方法で。

入りたい事務所にプロフィールを送るのです。

今だから言えますが、この方法は自信がありませんでした。
自分の芸歴がとても薄っぺらく、実力にもアピールできるほどの自信がなかったからです。

しかし他の方法と言えば、
養成所、知り合いの紹介、くらいしかありません。
この段階では資金的な問題で養成所は避けたかった。
自分で作った借金もありました。
事務所を紹介してもらえるような知り合いもいません。
とにかくやってみるしかありませんでした。

APHの顔出しをやってるメンバーも使っている写真スタジオを教えてもらい、
初めて自分で宣材写真を撮りました。
今思えば衣装は割とキレイなただの普段着だし、
写真を撮られる事に慣れていなくてこわばってるしで酷い出来です。

ファイル、封筒を必死に選び飾り付け、
十数社にプロフィールを送りました。
こうやってプロフィールを作って送っていると、
自分が今どんな状態でどんな状況なのかがとてもよくわかりました。

本当に何もないんだな、と。
結果はダメでした。

ほとんどが反応もなく、電話してもサンプルも聞いてないと言われる。
何社か話を聞いてくれましたが事務所に入るまでにはなりません。
その時の総合的な自分を考えると妥当だったのかもしれません。

ヤッパリダメか。

そう思いました。
そして
もうこれしかない、と思いました。

養成所からやり直す。
 

 
プロフィールを送った結果が全て出た後、
代表に相談に乗って頂いている時、
「養成所からやり直そうと思います」
と伝えました。

代表はとても驚いていました。
「養成所からと言うのは、私の考えの中に全くなかったけど、
本当にやるのか???」とも言われました。

しかしこの時自分は、
もう養成所からやり直すと腹は決まっていました。
今の自分では他に道はないと。
さんざん有り得ない失敗を繰り返した自分は、
一からやり直さないと無理だと思ったのかもしれません。

ここで代表から一つの条件を提示されました。

「養成所からやり直すなら常に圧倒的、ダントツのトップでいてくれ」

と。

APHで学んでいる以上、養成所にいる素人とは違う。
それを養成所卒業までダントツのトップの評価を得続けることで示す。
そして年齢を考えればこれくらいできないと先はない。
養成所から所属になるための最低限の条件だったのだと思います。

自分はこれを実践すると代表に伝えました。
そうでないと先はない事は自分にもよくわかりました。

この時、養成所に入るにはギリギリの時期になっていました。
お金はありませんでしたがバイトして貯金して来年という訳にもいかない。
年齢を重ねれば重ねるほど不利になる。
そんな時間の猶予は自分にはないのです。

先ずはAPHのメンバーに手伝ってもらいながら、
セッションが終わった後の深夜に漫画喫茶に行き、
慣れないネット検索で必死に養成所を探す所から始めました。

事務所に所属していた経験から、
各事務所のHPを見ながら自分が少しでも有利になる要素を探しました。
その中で何とか「ココなら」と思える養成所を選び出したのです。

必死で選んだ養成所の情報を持って、
また代表に相談に乗って頂きました。

自分がどうしてこの養成所を選んできたかを説明した所、
その事務所に自分と声やキャラがかぶる役者はいるか?
仕事の流れはあるのか?
どの仕事のジャンルに強いのか?
養成所からどれくらい所属になっているのか?
などいろいろな質問をされました。

これらに自分がどう考えたかを答えているうちに、
さらに自分の考えがまとまり選択肢が絞られていきました。

結果、当時APHにいたメンバーが所属する事務所の養成所と
ネットで探した養成所の二つに絞り込み試験を受ける事にしました。

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