専門学校の授業は発声や朗読など、
科は違えど内容は声優に近いものがけっこうあり
専門学校から斡旋された寮に帰ると毎日滑舌や発声を楽しくやっていました。
しかし、授業はかなりサボりました。
理由は、
・朝までゲームをやっていて眠かったから
・嫌いな授業がある
の二点です。
欠席の連絡をする時、理由は風邪になります。
その時「演技」をしてました。
咳をしてか弱い声を出しクラス担任を騙し、電話が終わると即睡眠です。
寮とは言え実家から出た事で、いろいろタガが外れ
ゲームやCD、漫画を買い漁り
蕎麦屋を巡りどこが美味いだのと言い
今の自分から考えると、死ぬほど遊び回ってました。
この時少しでも貯金していれば…
あんなに蕎麦を食べ歩く必要などなかった。
あの時の自分を殴りたい。
自分はめちゃくちゃ不真面目でした。
そのくせ授業で他の人が先生に褒められると、
やたら対抗意識を燃やしてやっていました。
そしてなぜか、
自分はできる‼︎
と、思い込んでいました。
ほんとなんででしょうか?
根拠は全くないのに自分は才能があり、
できる、できてる‼︎と思ってました。
バカは怖いですね。
自分通ったのは声優科ではないため芝居の授業は全くありませんでしたが、
ラジオパーソナリティー科なのでCM原稿を読んだりしました。
これがやたら楽しかった。
題材は土石流が流れてくる災害映像のナレーションだったりしたのですが、
内容に対して不謹慎なのですが
映像に合わせてナレーションを入れる事が楽しくて仕方なかった。
正直、専門学校の授業自体は特にためになった事はありません。
自分が入ったパーソナリティー科は一クラスだけで
人数は10人というオマケみたいな科で、
当時ブームだった声優科は確か30人10クラスくらいあったと思います。
教室も、声優科は校舎の3~5階にあり広かったのに
パーソナリティー科は半地下の狭い教室でした。
よくクラスメイトと愚痴ってました。
こんな状況でしたが専門学校生活は楽しかった。
当時は知識がなくわかりませんでしたが、
この専門学校はもともと服飾系の学校から規模を拡大してきた所で、
声優科やパーソナリティー科はできたばかりで実績があまりありませんでした。
そのため事務所につながるラインと言えば、
卒業時のオーディションで養成所合格になる程度でした。
つまり始めから養成所に行った方が良かったのです。
そんな事も知らず入った自分は、
「専門学校を卒業したら一年浪人して事務所に入る、て感じか」
と、また「なぜか」思い込んでいました。
これ今考えても意味がわかりません。
どうしてそう思ったのか…うーん
2年目になり、卒業後の事を考え始める頃
クラス担任が声優雑誌に載っていた
あるナレーションコンテストの事を教えてくれました。
別に専門学校とつながりがあるものでもなく、
あくまで外部のコンテストを担任が探して来ただけです。
クラスの何人かと自分が応募してみる事にしましたが、
誰一人真面目に先の事を考えていたわけではありません。
自分は、賞金が欲しかったから応募しました。
確か金賞で10万だったはずです。
カネです。
すると後日「銅賞に入りましたよ」と電話がかかって来ました。
銅賞は3万です。
なんだよ銅賞かよ、と思っていたら
「事務所に入らないか?」
と言われました。
事務所?
どこの?
この時説明されて始めて知ったのですが、
このコンテスト
とある中堅事務所が新人オーディションも兼ねて開いていたのです。
賞金しか見ていなかったので、どういう所が主催か全く知らなかった。
そして、その事務所の事も全くわからなかった。
当時の自分は声優には詳しくても
声優事務所は青二、バオバブ、シグマくらいしか知りませんでした。
ミーハーな人間なんてそんなもんです。
とりあえず後日、その事務所に行って面接する事になったのですが
正直怪しい所ではないかと疑ってました。
急に「事務所に入らないか?」とか言われても
得体の知れない所に入って騙されるのではないかと本気で思ったのです。
声優事務所の事を知らないくせに、やたら警戒したのを覚えています。
しかしクラス担任が事務所の事を調べてくれ正体がわかり驚きました。
なんと自分が大好きだった
とあるアニメのメインキャラを演じた人がいる事務所だったのです‼︎
ビビりました。
自分は臆病な人間です。
注目されないと目立とうと張り切り、妙に良い結果を出したりしますが、
注目され期待されるとビビって失敗するのです。
この時、まさかそんな有名な人がいる事務所だとは思っていなかったので
震えるほどビビりました。
面接の日、自分はスーツを着てガチガチに緊張して行きました。
社長には
「スーツなんか着てこなくて良かったのに」
と笑われました。
自分は終始「はい」「いいえ」くらいしか言えず、
社長が履歴書を見ながらいろいろ質問された事に答えるだけでした。
事務所での面接が終わり数日後、
「専門学校を卒業したらウチに来て下さい」
と連絡が来ました。
こうして自分は、「声優」という業界に足を踏み入れたのです。
ちなみに自分が大好きだった声優さんは、
すでに移籍してその事務所にはいませんでした。
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