制約の中で、どのように演じるか?

ディレクターによって求められるものが違います。

これ自体はずっと感じていた事ですが、
上手く対応できずにいました。

自分はもともと小さな表現で細かく芝居をしていました。
それしかできなかったためでもありますが、
多少なりとも仕事にもつながりました。

しかし、ある現場で基本的な大きく表現する芝居を求められ
全くできず徹底的にしごかれました。

そこで、APHで培ったものの使い方がわかり
徐々に今までと違う部分で評価を頂けるようになりました。

そこから、以前の細かく表現する芝居を
かなり狭いレンジで求められた時、
自分は窮屈でやりづらいと感じるようになりました。

大きく表現できる幅が広がると、それが楽しくなり
今までの演じ方にプラスしていく事ができるようになってきたからです。

しかし最近、また感じ方が変わってきました。
狭いレンジで細かい…いえ、繊細な芝居をする、
これも楽しくなってきました。

きっかけはある海外アニメの吹き替えの現場でした。

そこは原音にとても忠実に吹き替える現場で、
原音よりテンションが高いと翌週取り直しになるようなところでした。

苦しかった。

せっかく大きく広げてきた芝居を枠の中に合うように
縮め縛られているようで、本当に苦しかった。

ですが、ある共演者の方は
原音に忠実で、原音より面白い芝居をしていました。

驚きました。
こんなやり方があるのかと。

音の高低、抑揚など原音とほとんど同じなのですが面白い。
狭いレンジの中をとても自由に演じていました。

そこから、自分の考え方が間違っていたのだと感じました。

この狭いレンジの枠の中で自由に芝居ができれば良いのだと、
今までと逆の考え方をすれば良かったのです。

そのためには技術が必要でした。
大きくしたエネルギー、表現を小さく圧縮する技術。
圧縮して濃くした芝居を細かくコントロールする技術。

車の運転でいうなら、今までの自分は
ヘタだからカーブが沢山ある難しいコースを
全速力で走る事ができなかっただけでした。

しかし、○○を教わり技術というものに少しずつですが
取り組み始めたおかげで走り方がある事に気づく事ができました。

有難うございます。

今日はまさにそんな現場でした。

年齢感、声のボリューム、感情の起伏を原音に合わせつつ、どう豊かに演じられるか?

手応えは…まあまあです。
方向は合っているようですぐにOKはでましたが、荒い。
もっと丁寧にできた、いやできるようになれるはずです。

一周回ってまた細かい芝居が面白くなってきました!!

まだまだ先がある、
そう感じられた現場でした。

技術を具体的に使って、良い結果を出す事ができた!!

今日の現場は朝から二本、夕方から一本の三本。

その三本目。
シーズン4になるレギュラーです。

ここでも姿勢を意識しつつ、
安定した低音を使っていきます。

ここでの自分の役は屈強な海兵隊員。
タフさ、力強さを出したい。
今までいろいろな立ち方、音のポジション、台本の持ち方を試してきました。

効果も出ていましたが、体にかかる負担が増え
やり続けられない事もたくさんありました。

理由は単純。
教わった事がうまくできていない。
特に力みが問題でした。

音を支える下半身が安定せず、変なところを固めて音を出していたのです。
今までは、スタンスを広く斜めに取り、踏ん張っていました。

踏ん張っているので力んでいます。
そうでなければ、安定感が感じられなかったからです。
スタンスを広く斜めに取っても、力んでいなければ良いと思うのですが
芝居をしていて勢いに乗ろうとすると、そのバランスが崩れ、力んでいました。

今回は、スタンスをふつうに立つくらいに取り
踏ん張らず軽く膝を曲げ
個人レッスンで教わった○○○と○○○をつなげる事を試しました。

これ自体はまだまだ稽古不足でできませんが、まず力みが減りました。
そして、上半身である事を行い、息を大きく吸い、
しっかりと掴めるようにしました。

手応えありです。

今まで、力みで低く押さえつけていた音を、
体に響かせ以前より遥かに楽に出す事ができました。

この方向は良いと感じました。

特に今日は、叫んだり、ささやいたりと、いろいろな感情のシーンがあり
そのどれもに効果的にも使う事ができました。

何より嬉しかったのは、叫んだその衝撃が全身に伝わった事です。
これは、自分にとって、とても大きな事でした。

今までもうまくいく事はありましたが、次に再現できずにいたからです。
今回は、立ち方、構え方など、以前よりはっきりと意識して
意図的に具体的に変えました。

朝からやっている事を夕方の現場でも効果的に使えた。
嬉しかった!!

超具体的に!!
上手くいった!!
有難うございます!!

と思ったら あれ?

ちょっと肩が痛いぞ!?
やってる時は感じなかったのに…

まあまだ身に付いたわけじゃないですからね。
まあまあしょうがないですね。
これからですよ、これから…

この作品は、年内あと一回、しかも最終回です。

次も具体的に挑戦します!

姿勢を意識する事で、ある変化が…!

今日は朝から二本録り。
それに加えて夕方から一本の三本です!!

こんな感じで毎日行きたい!!

朝の現場は続いていたレギュラーの最終シーズンです。
先の読めない展開でワクワクしていました。

シーズンを経て、自分の役が少し成長して落ち着いてきました。
ここで立ち方を変えて挑みました。

今までは、勢い重視の姿勢でしたが
今回からは安定重視の姿勢にしてみました。

そして、△を外に開きつつ、台本を持ちました。

今までは、△を締めるような形だったのを開いた事で
もっと低音を楽に安定して出したいと考えました。

こんなあからさまに△を開く事はふつうないのかもしれません。

形はちょっと変ですが、いつもより楽に大きく息を吸える感じになり
ある程度思った通りの芝居ができたと思いました。

セッションではよく、○○が存在感につながると言われます。
一年ぶりにレギュラーメンバーに会ってマイクの前に立った時
自分の占める領域が大きく、広くなった気がしました。

多少なりと○○が鍛えられて来たのかもしれません。

でももっと
大きくて強い存在感が欲しい。

そうでなければ主役はできない、と改めて感じた現場でした。

現場でのチャンレンジ。新たに学んだ技術を使って

今日は外画レギュラーです。
もう3シーズンやっているもので、役はマッチョな海兵隊員です。

この役、自分には珍しい役で常に苦戦しています。

まずマッチョな役を振られることがない。
こんなに長く続いてるのもこれだけ。

初めて現場に行った時、よく会う人に
「え?この役、吉田さん?」
と言われた事を今でも根に持っています(笑)

自分でもビックリだよ!!

しかし、やってみると意外に評判が良い。
役に合っている、と。

ホ ン ト か !?

未だにこの想いが拭えません。

そのためAPHで習った事を試すのは、まずこの役です。
不完全だろうが、新しく習ったら無理矢理でも組み込んで
少しでも良くしたいのです。

今はもっぱら○○がテーマです。

最近、APH土曜セッションで○○稽古をしている時に
自分がけっこう奥で音を出していると感じました。

会話の距離感ともまた違う、セリフを発する場所が奥だと。
これを意識的に、違和感があるのですが、前の方で音を出すようにすると
聞いている相手の反応が大きく変わりました。

自分はもともと「独り言」をベースに
芝居をしていたのではないかと思います。

業界に入ったきっかけはナレーションだったのですが、
それがモノローグのような喋り方から始まっていました。

これをずっとやっていたせいか、
セリフを前に、相手に出す事が苦手になっていたのではないかと思います。

前に出すと、凄く違和感があり、無理をしているのでえらく疲れる。
でも音も、相手の反応もはっきりしたものになりました。

これをこのマッチョな海兵隊員に入れようとしました。

ぶれる!!

とにかくまず前に!!

テストは、まずまずの手応え。
そして本番では、なんか感じ変わった!!

テストよりぶれた!?
安定しない!!

でも勢いは乗ったらしく、ディレクターが笑ってたので
まあ良しとしようかと思います…

技術を身につけていきたいと思った現場でした。

ハードな現場でしたが、乗り切りました!!

当日セリフが半分変わった!!

割とあることではありますが、分量が多かったのでヒヤヒヤしました。

今日はボイスオーバー。
出番は多くありませんでしたが、4ページくらいのシーンに自分のセリフが1ページ分くらい。
その中の一番長いセリフが半分変わりました。

ここが一番、ニュアンス・尺合わせが大変だったのに…
しかし、やるしかありません。

ボイスオーバーはどこも、テスト・本番とやることがほぼありません。
最初のところをテストして後はすぐに本番になることがほとんどです。

今日もそうでした。
しかしさすがに変更になった部分はテストがありホッとしました。

そのテストで、

一行分くらい大幅にはみ出しました。

長いよ!!
もとよりかなり長いよ!!

インタビュー部分で口パクがあり、
この現場のディレクターさんは可能な限り口パクに合わせていく方針です。

これはマズイ。

後半のリズムが全く変わってしまった。
そこで○○を可能な限り意識しました。

自分は○○がほとんどできていません。

が!
意識することによって足場になるポイントができました。
その○○を使ってリズムを刻みながら、
自然に早口になるように持っていくことができました。

テスト後の本番でピタリと合わせることができました。

やっている最中、ずっと台本を持つ手が震え続けていました。

今日の現場では、ドキュメンタリーという性質上誤解がないよう、
セリフの変更とカットが大幅に起こりました。
当日に。

特に主人公の方は三分の一くらいが変わり、
ほぼ初見になってしまっていました。

修正用紙は渡されていたのですが、
量が多いためチェック漏れや書き間違いがあり
プレッシャーは大変なものだったと思います。

しかしさすがベテラン。
芝居の安定感は最後まで消えることがなく、現場の芯になってくださっていました。

さらに他の方もチェック漏れなどがあり、
進行のリズムが崩れたり、ディレクターさんもピリピリしだしたりと
なかなかハードな現場になっていました。

ここでAPHで叱られながら、周りをよく見て必要な時に動くようになってきた事が活きました。

自分のセリフ以外も、修正用紙を見ながらチェックして
その人がチェック漏れや書き間違いをしていたら
ディレクターに指摘される前に伝えたりしました。

そこでディレクターから
「ちゃんと修正伝えとけよ!!」
とお叱りを頂きました。

以前の自分なら理不尽な事を言われてビビるところですが、代表から
「その役者に直接ダメ出しがしづらい時、別の役者を代わりに叱る事で、その人に気付かせる」
という話を聞いていたため
「来た!!」
と思い「すいませ~ん」と軽い感じに言ってブースの中に笑いを起こす事ができました。
有難うございます。

これはディレクターからの信頼の証でもあるため、嬉しかったです。

その日の帰り、電車で一緒だったディレクターさんととても楽しく話す事ができました。

一つ一つ信頼を積み上げさらに上のレベルに上がれるようやっていきたいと思えた現場でした。

教わった事を使って、良い結果を出す事ができました!!

今日は個人レッスンの効果を実感しました。

二日前に代表個人レッスンを受けた後だったので、
さっそく教わった事を使ってみました。

まずは朝からストレッチ。
個人レッスンから二日、自分でやってみました。
体がガチガチに固まっていた事を思い知らされました。
左右で硬いところに差があるし、大変です。

ある種の頑張りの結果なのですが、これではいつか死ぬ…

しかしストレッチの効果は絶大でした。
肩のコリがかなり解れ、リラックスしやすくなりました。

そして意識的に体のポイントの重さを感じる事により、
楽に音を出す事が出来ました。

ここでクセが出てきます。

初めは良いのですが、だんだんと力んで固まってくる。
セリフの合間に毎回、肩を緩めながら演じました。
側から見るとよく動くヤツだと思われた事でしょう。

そういえば以前ディレクターにも言われました。
よく動くヤツだな、と。

仕事をしている事が、
日常的になってきて慣れてきているとは言え
本当に緊張しながらやっています。

体が固まっていく事はずっと感じていました。

このクセを改善するためにも今回個人レッスンで
教わったポイントは大きな効果がありました。
有難うございます。

このポイントによって低音が楽に自然に出せる感覚がありました。
これは最初と最後のナレーション部分でとても効果的に使えました。

今回の個人レッスンは、いろいろな事を短時間で教わりました。

これを通常のセッション、普段の自分の稽古で何度も反芻して身につけていく過程で
自分で何かに気づけるようになりたいと思います。

新しい色を作るために一つ一つの技術を深めていきたいと感じました。

外画の現場で。「役者の個性」を見せつけられました!!

「役者の個性」というものを見せつけられた現場でした。

今日は外画長尺。
超くだらないコメディでした。

登場人物も胡散臭いヤツばかり。
向こうの国の役者も曲者ばかりでした。

そして吹き替え版。

主人公はノー天気でおバカな兄と
融通の利かない堅物、超真面目な弟。

それを吹き替える日本の声優も
曲者な台詞回しに胡散臭い高音、
かたや芝居も音もどストレート重低音と
ハッキリとした対比のあるキャストでした。

お互いが持ち味を出す事によって、
相手の特徴が際立つわかりやすい対比でした。

この二人、色が濃い。
喋った瞬間性格がわかる。

そういう意味ではどんな役にも合う人達ではありません。
しかし誰が見ても明確な得意分野があります。

これが自分にはない。
明確な、部分が。

自分にも得意分野はあるんです。
でも色が薄い。
そっちの方向に割と向いている、くらいでしょうか。

今、日曜セッションでは新たな色を作り出そうとやっています。
今までの色をさらに濃くするために、
全く違う新しい色を作りたい。

今回の対比になっている主人公兄弟のように。
自分の中で濃くハッキリとした色で対極にある
キャラクターを作りたいと感じた現場でした。

その人達と並んで芝居をする時、差を感じ悔しいと思いつつ
とても楽しかった。

あんな風に共演者を楽しませる事ができるようになりたい。

改めてセッションの大切さを感じました。

現場で感じた演じる時に大切な力

今日は物語の開始から半分までマイクの前にべったりと立ちっぱなしでした。

今までもこの作品ではセリフは多かったのですが、間にいろんなシーンがありずっと喋っているわけではありません。

今回は登場人物それぞれに焦点を当てて、個別にストーリーを追う形になっていたため同じキャラが集中して出てきたのです。

今週は今までと違う疲れでした。
そして、主人公をやる、という事はこれをずっと続けるのだと感じました。

性格にもよりますが、主人公は基本的に喋りっぱなしです。
という事はマイクの前にずっと立っていることになる。

よく主人公を演じている人が現場で小まめに座ってやすんでいるのもわかる…
息つく暇がない感じでした。
主人公はずっとこんな感覚なんですね…

でも楽しかった!!
大変だったけど。

やはり集中力の質と持続力
そもそものエネルギー量
これらは本当に大事だと感じました。

これらが上がれば芝居も変わる。
存在感が変わる。
これを変えなければ主役はできないんだと思います。

まずは基本的なエネルギー量を増やしていきたいと改めて思いました。

場の空気をつくる。現場で感じた役者の影響力

以前、セッションで代表に教えていただいた
「場の空気をつくる」
というのを自分なりに試してみました。

えらく疲れました。

自分の経験でも、ベテランの方がいると演じていて
とてもやりやすく感じた事があります。
しかも、その人がセリフを喋っていなくても
いるだけで変わるのです。

自分はそれをボイスオーバーの現場で実感したことがあります。

あるベテランの先輩がナレーションを、
自分がその間にある再現映像の声を当てていたのですが、
その日は仕事の都合でベテランの先輩が後から参加することになっていました。

やりにくかった。

間のナレーションがないだけで、まるで足場がないように
不安定になり必死に支えようとしたのを覚えています。

途中で先輩がスタジオに入ってくると、
ただそれだけで
先輩はのんびりと原稿の用意をしているだけなのに
場の空気が変わり
自分は物凄くホッとしました。

力のある役者の存在感とはこんなにも影響力を持つのか、と驚きました。

それを自分で、見よう見まねでやってみようと
緊張感のレベルを上げてみました。

疲れた。
物凄く疲れた。

先輩はこんな風ではなかった。
本当に何気なく楽にその場にいた。
何かを頑張っているようには見えなかった。

自分は、収録の半分くらいで疲れがいつもの倍以上に感じられました。

影響は多少あったか?くらいでしょうか。
その間の芝居は多分良くはなっていると思います…思いたい。

先輩がつくる空気は、その人によって違うので一概には言えませんが
少なくとも現場を良い方向に持っていくものであるはずです。

自分は部分的に良い方向には持っていったと思いますが…
エネルギーの絶対量が足りないのか
やり方が間違っているのか
根本的に全部間違っているのか…

うーん、とにかくまずはエネルギー量かな?
それが増えれば持続時間は伸びそうです。

改めて生き残っているベテランの凄さを痛感しました。

再現ドラマの撮影に行ってきました!

地上波で放送予定の、某番組の再現ドラマの撮影に行ってきました!

今回はメインキャストと言うことで、お恥ずかしながら、
今の事務所に入って初めての、セリフ有りの役を頂きました!

この仕事が決まった時
「やっと仕事として芝居ができる!やっと仕事としてセリフが吐ける!!」
と嬉しく思いました!

時は戻り一ヶ月前、オーディションに行く前に、APHで習った「セリフの◯」という技術を、
教わった通りに使おう!と決めました。

そして会場に入り、ピタッピタッピタッ!と芝居をして
「ありがとうございました!」と言って、スッと会場から出ようとした時、
制作の人から
「すみません!メガネをかけて一枚写真を撮ってもいいですか?」
と呼び止められました。

写真を撮られて会場を出た時「これは決まったなぁ~。」という言葉が自然と浮かんできて、
結果も出てないのに、何故だかじわ~っと嬉しさが込み上げてきました。

それから1ヶ月後、事務所から仕事が決まった旨のメールが来た時、
不思議と驚きませんでした…!

そして
「仕事を取る時ってこんな感じなんだなぁ。」
「仕事を取る為の技術って明らかにあるんだなぁ。」
と、しみじみと思いました。

今回の話は、ある山が突然噴火し、火山灰や火山弾が襲う中、
見事に生還した登山者達の物語です。

山奥での撮影とのことで、今回は一泊二日での撮影となりました。

撮影当日、早朝から都内某所に集合し、そこから車で3時間ほど移動して、
ある県境の山小屋で撮影が始まりました。

その日は今年一番の寒さという事もあり、昼間の室内なのに、息が白くなるほど寒い日でした。

待ち時間の間、衣装の登山服の上から更に上着を羽織り、靴下を三重にし、
カイロを全身に貼りまくり、なんとか寒さを凌ぎました。

そして、自分の出番が来ました。
監督から簡単に説明を受け、カメラ、照明をセットし、早速テストに入ります。

先ずは、山小屋に閉じ込められたSさん(自分の役名)が心身ともに追い込まれて、
不安と戦っているシーンを、引きと寄りで撮っていきます。

自分の創ってきたイメージで芝居をしたところ、監督の方から
「もう少し追い込まれてる感じを、わかりやすく、大きく出して欲しい。」
というディレクションが来ました。

自分は結構リアルな感じで芝居を創っていたのですが、
監督は違う感覚でこの役を捉えていました。

ディレクションを貰ってからすぐ、自分をフル回転させて、芝居を大きく変えました!

如何に自分の充実感・エネルギーを保ちつつ、
自分と監督とのイメージの差、違和感を、柔軟に、
そして楽しんで演じきることができるか…そこが役者の勝負所です。

テストの後、それから何度か監督とやりとりをしながら、無事にOKテイクを貰いました!

次のカットは、Sさん(自分の役名)が、大怪我をしている登山客のMさんを看病をし、励ます、というシーンでした。

撮影前、相手役のご年配の役者さんとセリフ合わせを軽くしてた時、
相手のどっこいしょ芝居が酷く、
正直、心の中でどうなることかと血の気が引いていたのですが、
監督のディレクションで上手く調整してくれたので助かりました…(汗)

その後は先程のディレクションの感じを理解しつつ芝居をしていき、
順調に撮影は進んでいきました。

撮影のリズムは早く、あっという間に自分の撮影シーンが終わりました。

自分の出番が終わった後
「どこまで監督の要求に応えられたのか?上手くやり切れたのか?」
正直よくわかりませんでした…

結局夜まで撮影は続き、移動時間の長さもあって、
宿泊するホテルに着いたのは午前2時でした。

身体のケアや朝の準備などを含めると、睡眠時間は3時間程。
なかなかハードなスケジュールでした。

しかし、不思議とそのハードスケジュールも、役者の仕事と思うと、楽しむことができました。

そして、次の日も午前中から撮影が始まりました。
今度は、登山シーンなどを影る為に、採石場の一角で撮影が始まりました。

撮影も2日目という事で、キャスト陣もだいぶリラックスしてきて、
自分も現場のリズムと要領がわかってきて、楽しく撮影は進んでいきました。

すると突然、監督が自分を呼んでくれ、自分の出るシーンを増やしてくれました!
しかも、カメラによく映る場所に配置してくれたり、台詞を増やしてくれました!

監督から、自分の事を気に入ってくれてる感じが伝わってきて、
自分の芝居が認められたようで、なんだか嬉しかったです!

そんなこんなで2日目の撮影も20時頃には終わり、今度は車で3時間かけ都内に戻ります。

帰りの車内では、メインキャストのうちの1人、Iさん役を演じた、
この道50年のベテラン役者さんと隣になり、その方とお話ししながら帰ってきました。

その方の生き様や、お芝居への熱い想いを聴かせて頂いている間、
素直で謙虚な言葉の数々が、何度も魂の深い所に響いてきては鳥肌が立ちました。

話の途中、年配のその方に、どうしても聴きたくて、失礼なのを承知で、こんな質問をしました。

「もし、生まれ変わったとしたら、次も役者やりますか…?」

薄暗い車内で、その方は窓の外を見ながら、ぽつりと答えてくれました。

「そうだねぇ…次もやるだろねぇ…」

僕は、その言葉を聞けて、心から嬉しい気持ちになりました。

芝居が好きで好きで追求し、それを自らの修行とし、淡々と淡々と、
仕事の大きい小さい、立場の大きい小さいに関係なく、誰の道でもない、
自らの道を役者として進んでいく、ベテラン役者さんの「覚悟」を垣間見た時、
僕の魂は震えました…

祖父と孫くらい年の離れた2人が、役者として、ある1つのモノを共有した瞬間
…それはそれは掛け替えのない僕の宝物になりました。

家に着き、寝不足でヘトヘトでしたが、魂はピカーッと輝いていて、とても充実した気分でした。

もっともっと芝居がしたい!
ホンモノの役者さん達ともっともっと出会いたい!
だから、もっともっと仕事しよう!
そう思いました。

その為にも、本質的な稽古をして、
自分の実力・世界観をもっともっと深めていきたいと思いました!!