再現ドラマの撮影に行ってきました!

地上波で放送予定の、某番組の再現ドラマの撮影に行ってきました!

今回はメインキャストと言うことで、お恥ずかしながら、
今の事務所に入って初めての、セリフ有りの役を頂きました!

この仕事が決まった時
「やっと仕事として芝居ができる!やっと仕事としてセリフが吐ける!!」
と嬉しく思いました!

時は戻り一ヶ月前、オーディションに行く前に、APHで習った「セリフの◯」という技術を、
教わった通りに使おう!と決めました。

そして会場に入り、ピタッピタッピタッ!と芝居をして
「ありがとうございました!」と言って、スッと会場から出ようとした時、
制作の人から
「すみません!メガネをかけて一枚写真を撮ってもいいですか?」
と呼び止められました。

写真を撮られて会場を出た時「これは決まったなぁ~。」という言葉が自然と浮かんできて、
結果も出てないのに、何故だかじわ~っと嬉しさが込み上げてきました。

それから1ヶ月後、事務所から仕事が決まった旨のメールが来た時、
不思議と驚きませんでした…!

そして
「仕事を取る時ってこんな感じなんだなぁ。」
「仕事を取る為の技術って明らかにあるんだなぁ。」
と、しみじみと思いました。

今回の話は、ある山が突然噴火し、火山灰や火山弾が襲う中、
見事に生還した登山者達の物語です。

山奥での撮影とのことで、今回は一泊二日での撮影となりました。

撮影当日、早朝から都内某所に集合し、そこから車で3時間ほど移動して、
ある県境の山小屋で撮影が始まりました。

その日は今年一番の寒さという事もあり、昼間の室内なのに、息が白くなるほど寒い日でした。

待ち時間の間、衣装の登山服の上から更に上着を羽織り、靴下を三重にし、
カイロを全身に貼りまくり、なんとか寒さを凌ぎました。

そして、自分の出番が来ました。
監督から簡単に説明を受け、カメラ、照明をセットし、早速テストに入ります。

先ずは、山小屋に閉じ込められたSさん(自分の役名)が心身ともに追い込まれて、
不安と戦っているシーンを、引きと寄りで撮っていきます。

自分の創ってきたイメージで芝居をしたところ、監督の方から
「もう少し追い込まれてる感じを、わかりやすく、大きく出して欲しい。」
というディレクションが来ました。

自分は結構リアルな感じで芝居を創っていたのですが、
監督は違う感覚でこの役を捉えていました。

ディレクションを貰ってからすぐ、自分をフル回転させて、芝居を大きく変えました!

如何に自分の充実感・エネルギーを保ちつつ、
自分と監督とのイメージの差、違和感を、柔軟に、
そして楽しんで演じきることができるか…そこが役者の勝負所です。

テストの後、それから何度か監督とやりとりをしながら、無事にOKテイクを貰いました!

次のカットは、Sさん(自分の役名)が、大怪我をしている登山客のMさんを看病をし、励ます、というシーンでした。

撮影前、相手役のご年配の役者さんとセリフ合わせを軽くしてた時、
相手のどっこいしょ芝居が酷く、
正直、心の中でどうなることかと血の気が引いていたのですが、
監督のディレクションで上手く調整してくれたので助かりました…(汗)

その後は先程のディレクションの感じを理解しつつ芝居をしていき、
順調に撮影は進んでいきました。

撮影のリズムは早く、あっという間に自分の撮影シーンが終わりました。

自分の出番が終わった後
「どこまで監督の要求に応えられたのか?上手くやり切れたのか?」
正直よくわかりませんでした…

結局夜まで撮影は続き、移動時間の長さもあって、
宿泊するホテルに着いたのは午前2時でした。

身体のケアや朝の準備などを含めると、睡眠時間は3時間程。
なかなかハードなスケジュールでした。

しかし、不思議とそのハードスケジュールも、役者の仕事と思うと、楽しむことができました。

そして、次の日も午前中から撮影が始まりました。
今度は、登山シーンなどを影る為に、採石場の一角で撮影が始まりました。

撮影も2日目という事で、キャスト陣もだいぶリラックスしてきて、
自分も現場のリズムと要領がわかってきて、楽しく撮影は進んでいきました。

すると突然、監督が自分を呼んでくれ、自分の出るシーンを増やしてくれました!
しかも、カメラによく映る場所に配置してくれたり、台詞を増やしてくれました!

監督から、自分の事を気に入ってくれてる感じが伝わってきて、
自分の芝居が認められたようで、なんだか嬉しかったです!

そんなこんなで2日目の撮影も20時頃には終わり、今度は車で3時間かけ都内に戻ります。

帰りの車内では、メインキャストのうちの1人、Iさん役を演じた、
この道50年のベテラン役者さんと隣になり、その方とお話ししながら帰ってきました。

その方の生き様や、お芝居への熱い想いを聴かせて頂いている間、
素直で謙虚な言葉の数々が、何度も魂の深い所に響いてきては鳥肌が立ちました。

話の途中、年配のその方に、どうしても聴きたくて、失礼なのを承知で、こんな質問をしました。

「もし、生まれ変わったとしたら、次も役者やりますか…?」

薄暗い車内で、その方は窓の外を見ながら、ぽつりと答えてくれました。

「そうだねぇ…次もやるだろねぇ…」

僕は、その言葉を聞けて、心から嬉しい気持ちになりました。

芝居が好きで好きで追求し、それを自らの修行とし、淡々と淡々と、
仕事の大きい小さい、立場の大きい小さいに関係なく、誰の道でもない、
自らの道を役者として進んでいく、ベテラン役者さんの「覚悟」を垣間見た時、
僕の魂は震えました…

祖父と孫くらい年の離れた2人が、役者として、ある1つのモノを共有した瞬間
…それはそれは掛け替えのない僕の宝物になりました。

家に着き、寝不足でヘトヘトでしたが、魂はピカーッと輝いていて、とても充実した気分でした。

もっともっと芝居がしたい!
ホンモノの役者さん達ともっともっと出会いたい!
だから、もっともっと仕事しよう!
そう思いました。

その為にも、本質的な稽古をして、
自分の実力・世界観をもっともっと深めていきたいと思いました!!