余計ではない、「良い意味で裏切る」こと

以前からレギュラーのシーズン3が始まりました‼︎

この作品、自分はメインキャラをやっているのですが
割と無口な性格のためセリフが少なく
消費カロリーが少ないため共演者から
「ギャラ泥棒」と笑われています。

とはいえメインキャラなので要所で見せ場になる会話やアクションがあります。

シーズン3のこの日の収録の最後のセリフ
「今の芝居だとその役らしくないな」
と言われました。

シーズン1の頃、自分は声優として当時の事務所を自分の意思で退所するかどうかの決断をしなければならない苦しい時期でした。

そのため何とか爪痕を残そうと必死で色んな事をしました。
そしてディレクターに
「違うっ‼︎」
と激しく叱責されていました。
スピーカーからディレクターの魂の苛立ちシャウトが聞こえて来たのは今でも忘れられません。
当時、体の芯から震えが来ました。

そして翌年のシーズン2では
新しい事務所が決まり精神的に落ち着いた状態で臨み、全くダメ出しがなくなりました。
その時ふと気付きました。
「自分は余計な事をしていたのだ」
と。

シーズン1当時の自分は、役というよりも
自分自身の不安や欲で芝居をしようとしていました。
頭で考えて、頭で芝居をしようとしたのです。
それに気付いてからは
物語上、声を当てる役者の芝居より強く表現したり、逆に抑えたりする時以外全く何も言われず
スルスルと収録が進むようになりました。

シーズン3のこの日の最後のセリフ、正直自分でも修正されるだろうと思っていました。
なのでリテイクも一発でOKが出ました。
しかし、

や っ て み た か っ た ‼︎

意識が朦朧とし死んだ恋人の幻をみて
それが幻でも構わない、会えて嬉しい
というシーンなのですが
この時の正解は落ち着いて感情を秘めて語りかける、でした。

しかし、その感情を溢れるように少し出し
心の揺れを表に出す芝居がしたいと思ったのです。
ベタです。

結果は予想通り修正されました。

これは役ではなく
自分の好きな芝居、好みだったと思います。
しかしこちらの方が良い、と思ったのも事実です。

結果は間違っていました。
しかしディレクターの声はシャウトではなく
ちょっと笑っていました。

たぶん、
きっと、
そうじゃないかな、
そうだと良いのですが、
自分のやろうとした事を理解してくれたのだと思います。

APHでは、
「求められる事を良い意味で裏切れ」
と言われます。
ディレクターのイメージを超えた良い芝居をするのです。

今回、自分は失敗しました。
悪い芝居ではなかったと思います。
しかし圧倒的に足りなかった。

次に挑む時はOKがもらえるように。
役に合っていてディレクターのイメージを超えた芝居を目指したいと思います。