マイク前の姿勢は役で変わる!!

馴染みのディレクターと役者さん達との仕事で
いざマイクの前に立つと…
違和感がありました。

姿勢がしっくりこない。

ここ半年ほど前から自分はずっとマイク前の姿勢を模索していました。

マイク前の姿勢は人によって様々ですが、

ベテランに多いのが
足を肩幅くらいに開いて体の真正面からマイクに向かう姿勢。
どっしりと構えベテランならではの貫禄があります。

若い人たちに多いのが
両足を揃え、踵をつけ真っ直ぐに立つ姿勢。
見た目的に綺麗な姿勢です。

両端のマイクに向かう時多く見られるのが、
左右どちらかの肩を前に出し、体を斜めにしてマイクに向かう姿勢。
マイクの位置的に画面が見にくい時に使われます。

マイクの高さに合わせて腰を落としたり、逆に背が低いので背伸びしたり
重心の置き方など細かく言うともっとありますが
大きく分けてこの3パターンだと思います。

自分は左肩前の斜め姿勢が合う
と思っていました。

昨年の年末から始まったレギュラーで自分は
この左肩前斜め姿勢でやっていました。

しかしその時々によって違和感がありました。

単に姿勢が上手く作れていない、ずれているからだと思っていました。
しかし新年一発目の仕事でそれが原因ではないのではないかと思いました。

APHでは表現や体が固まって自由度がなくなっていることを
「居着く」
と言っています。

現場で「居着く」とディレクターの演出に対応できない、芝居が変化しない
マイク前のフットワークが悪くなるなど悪いことづくめです。

自分はこの「居着く」状態になっていたのだとわかりました。

基本になる正しい姿勢はAPHで教わって来ていました。
しかしそれと同時にその形に「居着く」事はダメだともずっと教わって来ました。

基本の正しい姿勢とは、そこからどんな形にも変化できるものだからです。

板の上では基本の姿勢の「形」のままではいられません。
芝居で動いたり、しゃがんだり、転がったりするからです。
これで見た目姿勢が変わらなかったらおかしすぎます。

ではマイクの前ではどうなのか?
当然全く同じでした。

違和感の原因は
「自分の演じる役が変わった」
「性格、人格が変わった」
からでした。

偉そうな役なら踏ん反り返ったり、
気弱な役なら猫背になってみたり、
役によって姿勢は全く違うはずです。

芝居をするのにマイクの前では全部真っ直ぐ立つと言うのもおかしな話でした。

ベテランはどんな姿勢からでもその役を演じられる技術を持っているかもしれません。
しかし自分はまだまだそうではありません。

その時の役を演じるのに一番良い姿勢をとるべきだと思いました。

新年一発目の仕事は配達員でした。
舞台になる店によく来ているのか、フランクな会話を交わしています。
一番しっくり来る姿勢は
右足踵重心で休めの時のように立つ姿勢でした。

別のレギュラーでは若くて勢いのある、まだ青臭い少年と言えるくらいの男性です。
この時は左肩前の左足つま先重心で後ろ足の右足でそれを前後に揺らし
いつでも走り出せるような姿勢で喋りました。

また別のレギュラーでは喧嘩は弱いが頭の回転と話術で荒くれ者達と渡り合う男です。
この時は右足全体に重心を乗せ、左足は軽く曲げ自由にし、顎を軽くあげ周りを見下ろす様に喋りました。

さらに屈強な海兵隊員の時は、
両足を広めに開き、腰を落とし踏ん張りが効くように喋りました。

今の自分にはこれが一番しっくり来ました。
それぞれの役に基本姿勢があり、それが状況によって変化する。

「役によって姿勢が変わる」
と代表にずっと言われていましたが、改めて実感と共にこれが重要な事だと思わされました。

一つに固めようとするのではなく
基本を踏まえ、役によって柔軟に自由に変化できる姿勢。
これを今年の一つのテーマとして深めて行きたいと思います。