色濃いキャラクター、ベテランのセッション

今日は外画のコメディ映画の収録でした。

面白かった。

今セッションでやっているキャラを作る。
それを実際にやっている人達を目の当たりにしました。

自分が子供の頃からテレビで聞いていたSさん。
この人が主役だったのですが20年以上たった今でも
バリバリの現役でした。

Sさんが台本のセリフをしゃべるだけで面白い。
一番好きなのが、セリフの語尾に「ん」が入る所です。

あー肩はダメ、撃たれてるから
というセリフがありました。

それが
あーーーん、肩はだめーーん撃 たれてるからーーーん!
になるのです。

これをSさんが情けない声で叫びます。
面白い。

文字としては「ん」が付いただけで内容は変わっていません。
しかしニュアンスはまるで違うものになっていました。

元々の海外の役者は三枚目ですが、
アクションもできる二枚目要素も人でしたが
Sさんがやるととんでもなく情けないヘタレに変わります。

では二枚目の要素がSさんにないのかというとそうではありません。

Sさんがカッコつけたセリフだけ聞くと正直三枚目に聞こえるのですが、
基本的なキャラがヘタレに局極端に偏っているため
カッコつけたセリフをしゃべるとギャップのせいで
不思議とカッコ良く聞こえる!

最近は、吹き替え元の芝居に忠実 に剃っていく事が多いのですが
Sさんは三枚目の部分を大きく膨らませ、上乗せしていました。

こうでありたい。
自分もこうなりたいと思いました。

そしてSさんと絡む主演の方々もベテランの曲者ぞろい。
これでもかと色濃くキャラクターを出してきていました。

この人達が会話をしてまとまるのか?
自分がディレクターならもう少し抑えてもらうかもしれません。

それぞれが全開のまま会話が始まりました。
すると、合わせる所は合わせ、突っ走る所は突っ走る。
要所でお互いにフォローし合い、最高に面白いシーンになっていきました。

悔しかった。
自分は初めから合わせに行く事がほとんどでした。
しかし先輩達は、
全力でぶつかり、全力でフォローし 、ギリギリのラインを取っているように見えました。
が、本人達は至って楽しそうに当然のようにやっていました。

こうありたい。
何度もそう思わされる現場でした。