収録人数を分けての収録。吹替レギュラーのお仕事!

緊急事態宣言は開けましたが、
コロナの影響で収録の仕方が変化しています。
今までは出演者全員で週一回、一話分を収録していたのですが、
今は3~4人でしか収録ができません。

一話全員分録り終わるのにほぼ丸一日かかる上に
入り時間が細かくバラバラになるので、
スケジュール調整もかなり難航したと思います。
そのせいかこのレギュラーは
・3~4人でのグループで二話分収録
・それを2週にわたって行う
というやり方になりました。

役者は2週間に一回、二話分収録するのです。
グループ毎の収録時間は3~4時間と以前の毎週一話分と変わりません。
しかしスタッフ側は毎週朝から丸一日スタジオに缶詰状態です。
かなり負担が増えています。

役者側としては芝居の質を落とさず
スムーズに収録を進めていかなければいけません。

完全個別収録ではかなり苦戦しましたが、
少人数とは言え会話する相手がいるので格段にやりやすくなりました。
さらに少人数に分けられた事で、
最近の風潮としてセリフの間隔が無くなり
スピードがとにかく早くなって息をつく暇もなかったのが、
多少出遅れても所々人がいないのでそこで立て直す余裕ができました。

全員でノンストップで喋り続ける
から
一人で喋る
さらに
少人数で喋る
と極端に変化した後なせいか、
この程々に余裕がある状況は思ったよりやりやすく感じてしまいました。
じっくりセリフを喋れる、というか。
スピードが変わったわけではないのですが不思議な感覚です。

そして今回
シーズン1から出演していたSさん演じるキャラが
チームから外れる事になりました。
このSさんのキャラは自分のキャラと一緒に
この番組のコメディパートを担当していました。
二人のキャラが親友として本筋外の所で
ふざけて盛り上がっているシーンがいつも楽しみでした。

自分はシーズン2頭からの出演で今5の途中なのでほぼ4年、
自分の仕事の中でも最長です。
今回は自分とSさんのキャラの別れが本筋として描かれました。

とても寂しいのですがとても楽しかった。

先週まで個別収録だったせいもあり、
Sさんの声を直接聞くのは久しぶりでした。
収録中、ずっとSさんのセリフに全神経を集中していました。
収録の環境とストーリーの影響もあって
いつも以上に集中力が上がっていたように思います。

テストで自分のセリフを聞いて、
本番でSさんがニュアンスを変えてきたのがわかりました。
自分もそれに乗ってセリフを返しました。

今まではこういう時頭で考える方が先行していたように思います。
今日は感じる方が前に出たと思いました。
それがとても心地良かった。

Sさんは収録中あまり他の人と喋らないので、
自分は特に仲が良いわけでもありません。
飲み会は二人とも苦手であまり行きません。
本当に収録中だけの付き合いです。

それでも別れのシーンに近づくにつれて、
昔を懐かしんでるというか何というか、
ちょっと表現しづらいですがあったかい空気になりました。

劇中では二人のキャラは泣きながら別れを悲しんでいましたが、
演じている自分はSさんと仕事ができて
本当に良かったとしみじみ感じていました。

収録後にSさんに花束とスタッフ出演者からの寄せ書きを渡したのですが、
あまり表情を変えないSさんが珍しく嬉しそうにしていました。
自分が良い芝居ができてSさんが楽しく思ってくれていたら良いのですが…

番組としてはSさんがいなくなるのは正直キツイです。
空気をしっかり作ってくれる役者が一人いなくなるだけで、
現場は大きく変わります。

次の収録から自分はよりパワフルにならなければと感じました。