ガヤがないと…外画吹替レギュラーのお仕事!

緊急事態宣言が解除されましたが、
収録はまだ自粛モードです。

とは言え完全個別収録から3~4人での収録はできるようになりました。
マイクの間隔を広く取り間に衝立を置いて接触を減らしています。

今日は番組レギュラーで入ってる外画です。

人がいるって本当に素晴らしい‼︎
一人でやってると相手のセリフを全てイメージしてそれに返すのですが、
相手が実際にいると熱量が違う。
当たり前ですが。

相手がいなくてもいるように芝居をするのがプロです。
当然自分もやります。
しかしやはり相手がいるといないとでは違います。
ちゃんとセリフのあるシーンや役ならまだ良いのですが「ガヤ」と呼ばれる、
そのシーンの後ろでその他大勢の人が喋っている部分では
周りの人との絡みがないと非常にやり難い。

シーンと無関係な通行人ならともかく、
メインキャラの絡みを見ながらリアクションをしている聴衆だと
別々に録っている他の人と自分で作ったセリフの内容が被ったりするのです。

その他大勢なので映っているこの人、と特に決められていません。
映ってない事もあります。
そこに自分でセリフを作り当てて行くのですが、
聴衆がだいたい同じようなリアクションしてるシーンなどは喋る事も絞られてきます。

収録の場に共演者がいれば、
「あ、これは言われたから別の事を言おう」
「あの人のセリフに合わせて絡もう」
「自分からのセリフに乗ってくれたからこのまま行こう」
といろんな事ができます。

それがゼロ。

謎解き途中でメインキャラのセリフが思わせぶりだったり、
状況がはっきりしていない事もあり
具体的な内容に全く触れずに
何となくな雰囲気を出さないといけない場面もたくさんあります。

シーン内で話している内容がほぼ謎。
それに反応する聴衆はどうやら内容を理解しているらしい、という
それまでのストーリーではまだ明かされていない内容を匂わすシーンがあります。
が、吹き替える役者もディレクターもスタッフも先のストーリーを誰も知らない。

何喋って良いかわからない‼︎

聴衆は、とりあえず不満はあるけど
しょうがなく何かに従わければいけない?ように見える。
ディレクターに
「とりあえず回すからやって」
と言われて一度やってみると、

「そのセリフ前に録った人と被ってるから違うのにして」

いやわかりません。
自分より前に収録した人がなに喋ったのか見れないし。

こちらが困ってるのをみてディレクターが
「ちゃんとリハV見てきた?(笑)」
と笑いながら言います。

ディレクターはとても楽しんでいる。
というか日本語版に関わってる人全員この段階では内容理解できないはず。
わかるのは英語版スタッフやキャストだけです。

「それっぽく何とかやっといて(笑)」

ええやりますとも。
とにかく言葉をあやふやにして具体的な事は一切言わず、
精一杯不満と戸惑いを表現しました。

「はい頂きました(笑)」

なんていうやり取りがちょっと前にありました。
こういう時はTRですよTR。
それで何とか乗り切りました。

それが今日の収録では「3人」いるんです。
会話ができる‼︎
多少前に録ったグループと内容が被っても3人で喋ってれば全く同じにはならない。
具体的な事を喋れなくても、
揉めてみたり頷き合ったりといろんな事ができます。

人がいる。
これがこんなに有難いと思った事はありません。
改めて「相手と会話する」という事の重要さを感じました。