淡々とした気持ちと本質

某企業のTVCMスタンドインに行ってきました。

今回は、スタッフが30~40人近くいる大きな現場で、
初日はアングルチェック、二日目が本番という流れでした。

メインキャストには、
俳優のTさん、芸人のOさん、Yさんの3人が出演し、
今回は、Oさんのスタンドインとして撮影に参加してきました。

一日で46カットを撮影するという事、
メインのTさんが、次の仕事のため時間制限があるという事で、
本番は分刻みのスケジュールとなりました。

本番の日もほぼ出ずっぱりで、
次のカットに移る度に、カメラと照明を作る為にパッと位置に入り、
監督のディレクションにパッと答え、芝居をする。

それをご本人達が見て、芝居のニュアンスを確認し、撮影する。
そのサイクルが朝9時から24時過ぎまで、淡々と続いていきました。

スタンドインの役割は、
監督の意図を明確に理解し、それを、芝居を通して出演者に伝えること。

いわば「監督と演者の橋渡し的な位置」と言えるのかもしれません。

裏方的な位置ではありますが、撮影が円滑に進む為の大切な役割なんだ。
という事を、さらに深く理解する事ができました!

正直言うと、今までは、
「次こそは自分があの場所に!」
「何でこんな人の黒子を…自分が出たいのに!」
と、自分が出演できない悔しさや、
理想と現実が目の前でぶつかりあうような感覚があったのですが、

今回の撮影で、この仕事の本質を、感覚的に掴んだ事で、
この仕事に誇りを持てるようになり、欲が消え、
素直に楽しむ事、現場にいれる事への感謝が、
綺麗事じゃなくできるようになりました!

勿論、今の状況に満足しているわけではありません。
しかし、今やっている事を否定的に捉えても、何も始まりません。

今の自分の立ち位置、一つ一つの仕事の意味を、深く理解する事で、
汚い波長や欲が消え、深く、静かに楽しい「淡々とした気持ち」が
生まれてきているのを感じます。

この「純度」を高めていく事こそが、
自分が芸事の世界に入る為の、とても重要な一つの感覚だと信じ、
しっかりと育てていきたいと思いました!

また、そうした感覚で臨んでいたら、
ちょっとした嬉しいことが起こりました(笑)

香盤表にはなかったのですが、急遽受け芝居として、
Tさんと芝居で絡む事ができたのです!

カメラの向こうでの受け芝居だったので、
勿論映ってはいないのですが、

大好きな映画に主演されているTさんと、
短い時間でしたが、同じ空間でお芝居ができて、
とても嬉しかったです!

カットが終わり「ありがとうございました!」と挨拶すると、
「あぁ!」と、Tさんは笑顔で答えて下さいました。

次は自分もカメラの前に立ち、Tさんとお芝居ができるよう、
しっかり精進していきたいと思います。

撮影後はヘトヘトでしたが、
役者としてすごく勉強になる現場でした。

この貴重な経験と気づいた感覚を忘れずに、
自分の道を淡々と淡々と進んでいきたいと思います。