長尺のお仕事。現場で感じた空気と緊張感

今日は長尺です。

課題は続いて「現場の空気を支える」です。

手が震えました。

作品の内容はある主婦の日常で、
家事だけで過ぎていく人生に疑問を持ちそれを変えようとする物語です。

この作品、とても静かでゆっくりと進んでいきます。
主人公の心理を画面の雰囲気で表しつつ、
少しずつ少しずつ緊張感を高めてきてました。

じわじわと家庭の中に不満と疑問がたまっていき
息苦しさを感じました。

演じるのは劇団系の手堅いベテラン揃いです。
その方達がまた丁寧に演じ
作品と同じように静かで高い緊張感にスタジオが包まれました。

合間で話をする時もなぜか皆さん小声になるんです。

やはり空気ってあるんですね。
この空気を支えようとしたのですが…
主人公が電話で話している裏のニュースを自分が喋るのですが、
台本が揺れてノイズが出るほど手が震えました。

こんなに緊張するとは思わなかった。
家での稽古で、ブツ切りのニュース部分を
内容や場所を調べある程度繋げるように足してきました。
家ではニュースとしてしっかりと伝えられる芝居に
それなりになっていたと思っていました。

しかし本番で緊張して怖くなりました。
何が怖いのかわかりませんでした。
恐怖と緊張で手が震えて、声も震え出しました。

一度NGを出し、リテイクまでの10秒ほどで
ギリギリ立て直しOKをもらいました。

危なかった。

こんなに手が震えたのは初めてです。
確かに主人公の心理を表す暗めのニュースで、
その雰囲気でシーンの空気が決まる部分ではありました。
でもここまで緊張するとは。

先日の若手だけの現場とは空気の質量が違った。
自分はベテラン達がつくる空気を支えようとして潰れかけました。

やり方が違ったのかも知れません。
でも多分、上の人達は常にこの質量の緊張感の中にいるのだと思います。
芝居の質や存在感が違う理由の一つはこれなのではないかと思いました。

何とかOKはもらいましたが、
自分の実力のなさを痛感した現場でした。