映画ナレーションの現場で感じたこと

今日は映画のスポットナレーション。

アニメ・海外ドラマとは違い、それほど大きな声も出さないので
小さなノイズまで目立ってしまいます。

今、APHで学んでいる○○の技術がとても役に立ちました。

セリフだと状況や雰囲気、勢いでごまかされるところが
ナレーションでは全て露わになり改めてとても繊細な仕事だと感じました。

他人の声は一切なく、自分がやった事が細部までハッキリ聞こえるので
いざ自分のナレーションを確認で聞くと

「あ、ヨレた」
「語頭が不明瞭だ」
「途中で繋がりが切れた」

と粗が目立ちまくりでした。

ここで○○を可能な限り意識していくと、
今までの自分ではスラスラと呼んでしまい
滑ってしまうようなところで一音ずつ踏ん張る事ができました。

もともと自分は声が軽くて早口だったのですが、△△のおかげで音の幅が広がりました。
そして○○を意識する事で、勢いに流されずたっぷりと力強く読む事ができました。

力んで出す力強さではなく、どっしりとして粘りのある力になったように感じました。

とは言え、まだまだ荒い。
もっと繊細に柔らかく力強くして行きたいと思います。

今回のナレーションでもう一つ感じたのは
膝の状態です。

先日の外画で、自分の限界の低音を使い演じたのですが
膝が緩まないと音を支えられませんでした。
ナレーションで椅子に座っていてもそれは全く同じでした。

普段の声や、高めの音を使っている時はあまり感じなかったのですが
限界の低音を使い表現する時膝が伸びていると
音が不安定になり浮いてきました。

まっすぐガッチリ固定した方が土台として安定するかと思いきや、
膝を緩める事で重心が下がり限界の低音の中にも幅が出てきました。

やってる時は必死でした。
自分のやりたいイメージと相手のセリフとのバランス。

この時、前回感じた「相手を守る」というのをもう一度!と思ったのですが
今回は自分が先行して喋り、相手は相づちを打つシーンだったので
自分が助けられるような感じでした。

テストで相手の出方を見ながら調整し、
いざ本番になると収録の都合上別録りになりました。

この時、もう一つ、今までよりもう一段階芝居に入り込みたいと思ってそれも入れ込み
本番は本当に必死でした。

終わってから、いろいろ一気にやりすぎて失敗したか!?
という考えがグルグル回りましたが、共演者の方の一人が

「カッコよかった」

と言ってくれました。

その方は普段から良いものは良いとハッキリ言う方なので、
自分のやりたかった事が多少なりとも形になったのではないかと思います。

嘘つく事はないと思います、多分…

今までやってきた間違っていた部分を直し、もう一段階、前に進みたいと思います。