「プロになるまでの全て!」Yさん編16

 

 

 

 

事務所の養成所と
ネットで探した養成所の二箇所に絞り込み試験を受ける事にしました。

さて
養成所に行くと決めたものの、
そのためには大きな大きな問題がありました。

そうお金です。

お金を払わないとどこにも入れません。

本気で声優になる為に養成所に行くなら、
選択肢は

・バイトして貯める

年齢的に時間の余裕がないのです。

・消費者金融からの借金

これ以上増やせません。

もう自分にとって最後の手段しかありませんでした。

親からの借金です。

この方法は選びたくなかった。
別に親に迷惑をかけたくないとか、そんな良い理由ではありません。

この頃の自分は、
父親と死ぬほど仲が悪かったのです。
というか自分が徹底的に父親を拒否していました。
だから意識的にこの選択肢を排除していました。

自分の父はサラリーマンでした。
父は大学に行きたかったらしいのですが、それを諦め就職し家庭を持ちました。
そういった経験からか、
自分が子供の頃には漫画家という夢を
高校卒業、専門を出た後からこの時点まで声優という仕事を

「そんな夢みたいな事を言ってないでちゃんとした仕事をしろ」

と父は全否定してきました。

専門に行く時は、
勉強を放棄して現実的に大学に行く点数を取れない状態になる
と言う恐ろしく後ろ向きな方法で、
専門しか行き先がないと父を諦めさせました。

ちなみに姉は、父の出した厳しい条件を全てクリアして好きな道に進みました。
えらい差です。

 

 


 

 

自分はこの時からずっと父に反抗して反発してきたのです。
借金も父に弱みを見せたくなくて作ってしまいました。
父に頼るくらいなら借金した方がマシだと思ったのです。
本当にバカです。

他の選択肢は今までの自分の行動で潰してしまったので他に現実的な手がありません。
声優になるためにどうしても今養成所に行きたい。
しかし自分の夢を全否定してくるような父に、
「頭を下げて頼む」というのが嫌で嫌でしょうがない。
でも養成所に行きたい。

そこから良い考えが浮かばず行き止まりになってしまいました。

その気持ちを代表に話すと、
「お父さんがどんな気持ちで反対しているのか考えた事があるのか!!」
と叱られました。

代表にこう言われても自分ではハッキリ理由がわかりません。
自分は真面目に考えた事がなかったのです。
反抗する息子に対する嫌がらせか制裁かくらいにしか思えなかった。

「お前の事が心配だから安定した仕事についてもらいたいと思ってるんだろ。
お父さんはなにも間違った事は言っていない。」

自分はこの時まで、父を敵だと思っていました。
自分の夢を潰そうとする敵だと。

しかし代表から、
なぜ父が強く反対するのかと懇々と丁寧に説明されて初めて理解しました。

「反対してても専門学校のお金を出したのは誰だ?」

確かにそうです。
本当に夢を潰そうとするならお金を出さなければいい。
しかし父はお金を出してくれました。
当時は進学のお金を親が出すのは当たり前だとしか思っていなかった。

父は電話をかけてきては、
「風邪ひいてないか?飯は食べてるか?」
と心配してくれました。

電話の度に「諦めて帰って来い」と言ってはいても、
いつも自分の事を心配する言葉が必ずありました。
それをずっと聴いていたのですが、
父を敵だと思っていた自分はその心配の言葉をすっかりなかった事にしていました。

「親が子供の心配をするのは当たり前だろ」

自分は代表に言われて初めて、
父がどんな気持ちでいたのか理解し始めたのです。
ここで初めて、親に借りるという選択肢が生まれました。

代表から、
プロになって利子を付けて返す覚悟で頼んでみては?
と提案されました。

今、他の選択肢はない。
代表の言葉で父への考え方が変わった自分は、
親からお金を借りるために実家に戻る事を決めました。

実家に戻る道中の事はとにかく緊張していたのを覚えています。

 

「プロになるまでの全て!」Yさん編 記事一覧