「プロになるまでの全て!」Yさん編25

ワークショップで吹き替えの仕事を取ることができて、
B社長の自分に対する評価がかなり変わったようです。

新人の中ではけっこう使えると思われたようで、
先輩達がやっている仕事のバーターとして入れる枠に入ったのです。

それまでバーターは、基本的に若い人しか入れられていませんでした。
だいたい脇のちょっとした通行人などを振る場合、
経験を積ませるために年齢の若い人を入れるのが当たり前です。
新人の中で自分は10才くらい年上なので、
売る側としても当然後回しになります。

一番に推してもらえるわけではなく、
若い子がダメなら最後に自分というくらいでしたが、
その枠に入った事はとても大きな変化でした。

ワークショップで自分を評価してくれたディレクターさんからは
何ヶ月かに一、二本呼んでもらえるようになりました。
それは今でも続いています。
本当に有難いです。

しかし当時、それ以外はお試しから始まったボイスオーバーの仕事があるだけです。
何としても他にも仕事をしたかった。

というのもボイスオーバーの仕事はいろんな事務所が狙っていたらしく、
たまにB社長から仕事終わりや飲み会で
「〜事務所がウチより安く受けると営業をかけてきているらしい」
「〜事務所は新人の層が厚いからウチの新人よりレベルが高いからまずい」
とこぼしていたのです。
いつ無くなるかわからない。

当時自分がもらっていたボイスオーバーのギャラも声優としての一般的な金額からすると半額以下だったのですが、
そこからさらに下げてくるのか⁉︎と驚愕したのを憶えています。
そんな値段でやられたらそりゃ向こうのほうがコスパは良いだろう、けど良いのか⁉︎
ととても衝撃を受けました。

相変わらず厳しい状況なので他の仕事のラインを増やしたかったのです。

そんな中、先輩のバーター枠に入った事でまた別のディレクターさんの仕事をもらう事ができました。
嬉しかった‼︎

それはS先輩がレギュラーでお世話になっているディレクターTさんの現場でした。

尊敬する先輩の行っている現場だし緊張はしましたが、
先輩と共演もできるし新しいラインの仕事に大喜びしていた自分に
「ちょっと先に入ったウチの新人がやらかしてるから頼むよ」
とB社長が言ってきました。

「プロになるまでの全て!」Yさん編 記事一覧