ブースで感じた「呼吸の深さ」の差。

先日、某アニメ作品でマスコットキャラクターを演じてきました!

メインキャラクター三人の内の一人としてコの字型に並べられた椅子の中心に座る経験は、現場にいるという状況の中でも更に不思議な緊張感を感じます。

声優の収録は、密閉されたブースの中で行われます。

独特の緊張感と静謐な空気が漂い、一度息が上がれば、一気に浮足立って膝が震えてきます。

こうなったらもう演技どころの騒ぎでは無く、頭の中が真っ白になって、自分がどんな台詞を喋ったのかすら吹っ飛んでしまいます。

ブース内の椅子に座って呼吸を整えると、他の声優さん方の「呼吸の深さ」の差が本当に良くわかります。

ベテランさんほど自由にゆったりとリラックスしていて、反面「あ。この人台詞トチりそうだな……」と思う人ほど肩で息をしていて、やっぱりリテイクの繰り返しになっていたり……。

「現場で深い呼吸」をすることが如何に大事な事かが良く分かります。

「それなら深呼吸でもして気を落ち着かせれば良いじゃないか」と考える方もいるかもしれませんが、深呼吸をしたところで「深い呼吸」をしたことにはならないということは、ほぼ間違いないと思います。

衣擦れの音すらうるさく感じる様な緊張感の中でリラックスしているなんて、日常から考えたらそれこそ異常な状態でしょう。

「現場で深い呼吸」をするということは、日常で使う呼吸とは別の「役者としての呼吸」があると感じますし、今回の現場でお会いしたベテラン声優さん達も、皆さん独自の深い呼吸をお持ちであると感じました。

APHでは、この「現場の呼吸」を実践することができ、その中で生まれる新しい台詞のニュアンスや、自分の弱点を発見する機会に恵まれます。

この「深い呼吸」ができた時は、現場の皆さんのリアクションがまるで変わります。

今回の現場でも、自分が台詞を言うと笑いが起こったりしましたし、先輩声優さん方からはイジリという名の手厚い歓迎を受けたりしました(笑)

その場の誰よりも「深い呼吸をする」ことは、本当に必要なことだと感じますね。