外画吹替のお仕事!芝居を変えるか、そのままか。

今日も外画です。

今日は医者の役。
瀕死の患者に淡々と処置をしていくシーンです。

今日は自分が選ばなかった選択肢を共演者の方々やった事で、
それが客観的にどう見えるかを知る事ができました。

医療ドラマでは緊急手術などで緊迫したシーンで、
焦りや動揺という感情を抑えつつ必死に冷静さを保つ芝居がよくあります。

ドラマチックに描く時は
感情を抑えている芝居をハッキリ見せていますが、
今回は本当に淡々と、事務的に見えるようなシーンでした。

手術を見守る患者の家族は、
泣き叫び、感情を罰発させていましたが、
医者はとにかく声量も動きも会話のトーンもずっと落ち着いたままでした。

医療ドラマ的にやるなら、
患者を抑えつつも揺らぐ部分を見せるのもアリなのですが、
どう見ても淡々とやるのが良いと考えました。

でも

ドラマチックにやってみたい。

医療ドラマ、好きなんですよ。
患者を全力で助けようとする医者の姿は本当にカッコいい。
ぜひやりたい。

でも今回の作品は違う。
現場では淡々と事務的に冷静にやりました。

しかし看護師役の方が自分がやらなかったドラマチックな芝居をやっていました。
気持ちはよくわかる。
自分もやりたかった。

でもディレクターからは
「もっと淡々と、冷静に普段の会話くらいのトーンでお願いします」
と言われました。

現場で自分でやっているとどうズレているのか、
客観的にわからない事がよくあります。

今回は他人がやっていたおかげでとてもよくわからりました。
合わない。
元の役者が表情も声量もトーンも変えず演じているのに吹き替えが煽ると
大きなズレを感じました。

やっぱり違った。
ハッキリわかる。
でもそうやりたい気持ちもわかる。

看護師役の方はほとんど新人でなかなか修正ができず苦戦していました。
なんとか修正できてOKが出て本当に良かった。
なんだか自分の事のようにドキドキしました。

吹き替えをやっていると、
「ココはこうだろう」
という元の映像と違う芝居が適切だと感じる事があります。
これは
・元の映像に合わせてその通りに日本語で演じる
・日本語ならではの芝居で元より面白い、良い芝居に変える
の二つの選択肢があると思います。

実際、元と全くの別物にして成功した例もあります。
でもコレ当然難しい。
だいたい元の通りに直されます。

仕事や出番が少ないとどこかでアピールしたくて変えたくなる気持ちが出てきます。
それを客観的に見られたのはもの凄く勉強になりました。

やるからにはクオリティが必要。
それを痛感した現場でした。