ピタっと決める

地上波のバラエティ番組の再現ドラマのお仕事に行ってきました!

この番組の再現の仕事は3度目。

実はその回によって制作会社が異なる場合もあるので、
毎回同じ様に呼んで頂いているというわけでもないのですが・・・
今回は、ちょうど1年前にお仕事をした時と同じディレクターに
再び呼んで頂きました。

とは言え、前回はちょっとした役で1シーンのみ、
しかもオンエアではそのシーンはカットされてしまっていて・・・なので、
当時は「もしかして私の芝居がダメだったのでは・・・」
と負の思考がよぎるのを何度も振り払っていた事を思い出しました。

今回、私の事を覚えていて呼んで下さったのか・・・
それともたまたまなのか・・・

『そういえば、こいつ前に芝居出来なかった奴じゃん』と思われたらどうしよう
(と、ちょっと負の思考が出て来そうになるところを)

・・・いやいや、今回だって私を選んだのはディレクターだ。
自信を持って、堂々と、しっかりやってこよう!!と決めて臨みました。


スタジオでディレクターにお会いして
「ちょうど一年前の今日、この番組の撮影でお世話になりました。
保健室のシーンで先生役をやりました。」とお話すると、

「ああ!覚えていますよ!でもあのシーンはカットになってしまったんですよね。
僕は入れたんですけどね、上の者にカットされてしまって。
芸人の○○さんがやりまくってましたからねぇ・・・(笑)。
今回は主人公のお母さん役ですからカットにはならないですよ!」と。

(後でわかったのですが、このディレクターは“コント”的に創るのが
お好きなようなのですが、上の方の好みではないそうです。)

よかった!私の芝居のせいでカットになったのではなかった!


そして撮影開始です。

このシリーズは基本的にやっぱり“コント”なんです(笑)。
主人公の姉妹は若手の芸人さん達。

二人の食べっぷりやリアクションや顔芸がとにかく面白くて、
ディレクターもそこを見せたがっているという事はすぐにわかったので、
私はその間をピタっ、ピタっ、と納めることを意識してやってきました。

勿論、そこには今APHで学んで稽古しているある技術を入れつつやるのですが、
ただ何となくやるのと、さりげなく「技術」でやるのとでは、
やはり“確信”の度合いが全然違いました。

今回も、私のシーンは基本的に1テイクOKで決めてきました。

脇はピタッと決める!
これをきちんと出来ることは現場では本当に重要な事だと思います。


あるシーンで別の若い女優さんが、笑いをとる芝居を求められ、
ディレクターに何度も見本を示されるも全くそのテンポやニュアンスが出せず
大変苦労していました。

彼女のキャラクターからしたら無茶ぶりであるのも確かでしたが、
ディレクターの描きたい画もよくわかりました。
そこが上手く行かないと本当に辛いですね・・・。

何度もやり直しをしましたが、結局、ほどほどのところで
「うーん、OKでいいでしょう」
と妥協している様子でした。

別日の撮影でも似たような事がありました。

回転寿司屋さんでのシーンで、
流れてくるお寿司のタイミングと
芝居のタイミングを合わせないといけないのです。
そこでエキストラで来ていた若い男性が、
一言のセリフでどうしてもテンポを崩してしまう・・・。

何度もやり直し。

でもお寿司は消えものです。
芝居で食べたら無くなります。
そしてお寿司の数には限りがあります。
(製作費がかかっていますからね!)
そうそう何テイクも出来ないのです。

やはりまた「うーん、OKでいいでしょう(諦めの様子)」
となってしまいました。


これが現場の現実。

毎回毎回ピタっと決める。
これが次の仕事に繋がるのです。

一つ一つの現場を大切にしていきたいと思いました。