外画の現場で。一言のセリフで空気が変わりました!!

今日はヒーロー物の外画です。
いつも必死に楽しく収録が進んでいくのですが、
今日は何か空気がおかしい。

なにか落ち着かないというか、不安感がある。
思わず周りをキョロキョロと見回してしまいました。

収録が始まっても熱が上がらない。
必死に自分で盛り上げるのですが、
重い布が上からかぶさっているように
すぐにまた下がってくる。

冷や汗が出ました。

当然、他の共演者も感じているらしく
セリフを噛んだり、タイミングを外したりが連発しました。

ある人は緊張感からか、マイク移動の際につまずき
自分の膝の上に倒れこんできました。
こんな事は初めてです。

自分はこの空気に引っ張られないようにするだけで精一杯でした。

ところが中盤から出番のあった先輩Sさん!!
始めのセリフから素晴らしいエネルギーに満ちた音をスパーンと出し、
途中の受けセリフのニュアンスで爆笑を取り、
場の空気を一変させました!!

凄い!!

自分はSさんとガッチリからんでコメディシーンをやっていたのですが、
そこから一気に盛り上げる事ができました。

ハイスピードなセリフで掛け合いながらも心の中で、
Sさんのセリフにシビれていました。

凄い。
言葉がほかにありません。

あの空気の中で、あの熱量を出し続けること。
周りまで盛り上げるセリフを言えること。

自分にはできなかった。

Sさんの役は自分達主人公チームの敵役ですが、
キャラの性格が少し自分と似ています。

自分はではたった一言のセリフで場の空気を変える事はできなかった。
自分が引きずられて下がらないようにするだけで精一杯でした。

後日セッションで、代表が
「アタフタしている奴がいると現場の空気が揺れる。プロはそれを嫌うんだ」
とおっしゃいました。

これを聞いて空気がおかしかった原因が、
その日初めてこの現場に来た人。
自分の膝の上に倒れこんで来た人だった事がわかりました。

以前の自分も全く同じようにアタフタしていました。
その時、周りにどれだけ迷惑をかけていたのかを
改めて痛感しました。

今度はSさんのように、
一言のセリフで場の空気を一変させられる側になりたいと、
強く感じた現場でした。