「プロになるまでの全て!」Tさん編18

 

 

 

 

落ち着いて冷静に考えたら、断られることなんて当たり前なのに、
どれだけ純粋バカなんだろうか。

目の前のことに一喜一憂して、良いことがありそうだと思ったら、
悪い癖ですぐ浮かれてしまう。

プロデューサーと面接できる!
それだけで私は大空を羽ばたくような気持ちだった。

・・・けれど、本当はどこかで「だめなんじゃないか」ってわかってた。
でも、それを意識したら本当にだめになってしまう。
だから、そこを見ないようにして、「大丈夫」と自分に言い聞かせる。

他のオーディションも同じ。

確率0.0000001%の勝率に賭けて、
受かってるって自分に思い込ませる。
結果、何度落ちてきただろう。

ダメな所に見向きもせず、根拠のない自信だけで、
力尽くで受かろうとして粉砕する。

そこに戦略がなければただの青春だ。

ある程度生きてきた私は、20代の人と同じようには戦えない。
正しい指導者について、実力を付けて認められなくてはいけない。

私の、居場所は一体どこなんだろうか?

私に、居場所なんてあるのだろうか?

 

 

いつの間にか、「何とかしなきゃ!」と、事務所を探していた。
もう事務所に入るしか考えられなかったし、他に方法が見つからない。

事務所の条件は声と顔出し、両方できること。

もう最初から大手事務所は除外していた。

他者から言われた「30代は取らない」という言葉。
それが現実だと身に染みたばかり。

敷居の高い事務所には入れないって思い込んで、小さい事務所ばかりに目が行く。

とにかく私でも入れそうな場所・・。
そんな風にしか、もう探せなくなってしまっていた。

突きつけられた「年齢」という厳しい現実をまともに受け入れれば受け入れるほど、
私の純な想いが濁って見えなくなりそうだった。

好きなこと、やりたいこと、なりたい私、それは自分がよく知ってる。

だから年齢なんか関係ない!って自分で思う分には自由だし、
私にはそう思い込む力もある。

でもこのままでは、世の中に受け入れてもらえない。

現実を受け入れて、「まとも」にほかの道に行く選択肢だってある。

でも、、、それができない。
だから、年齢で拒否されない事務所を探す。
そんな何の条件も整っていない私が見つけた場所。

小さな事務所A。

何かしていないと、どうにかなりそうだったから、あまり考えずに決めた。
書類選考のみ。3か月だけレッスンを受けて、その後、問題なければ所属できる。
そんな誰でも入れる事務所Aに、受かった。

私にも居場所があった。よかった・・。

不安から解放され、安堵した。
でもここから、メジャーに辿り着けるのだろうか。

今はそんな事考えたくない。
とにかく居場所さえあれば。。

必死でまた不安を掻き消した。

事務所に入ってからは主に再現ドラマ、通販番組のインサート映像、のオーディションが来た。

部屋を掃除する主婦。
子供番組の中では、母親役。

この辺りの、エキストラに少し毛が生えたような仕事が主だった。
情報番組の再現主役は一通り網羅した。

私の履歴書がだんだん埋まってくる。
でも、居場所はここじゃないって、心の奥で叫んでる。
これらは、仕事として「一本」と数えていいのか、自分でも疑問だった。

先が見えない。
でも、ここにしかいられない現実。

そんな時、吹替のお仕事が決まった。

 

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